経済環境の変化が及ぼす企業業績への影響の仕方は当該企業がどのような事業を行っているかによって異なってきます。

例えば為替レートの変化は、 公共事業を中心とした土木建設企業には 、輸出入を中心とした企業ほどには影響を及ぼさないでしょう。

「賢者のポートフォリオ」では、株式の業種をその事業の性質を基に24種に分類しています。
それらの業種の特徴を 株式投資の観点からメンターが解説します。

ここからはわしが説明してやろう。
業種名をタップすると、その業種の解説の近くまで進むぞ。

食品  エネルギー・資源  建設
素材  化学  医薬品
ガラス・土石製品  鉄鋼  非鉄金属
金属製品  機械  電気機器
自動車・輸送関連機器  精密機器
その他製品  電力・ガス
運輸・物流  情報通信・サービス
卸売  小売  銀行
証券  保険・その他金融  不動産

食品

「食品」には以下の業種が含まれるな
・主に水産品や水産加工品を取り扱う「水産業」、
・米などの農産物や、肉、乳製品、皮、卵などを生産する「農業」、
・主に木材を伐採し生産する「林業」、食料品、加工食品を生産する「食料品業」

これらは典型的な必需型・内需型の産業じゃ

リターンは、同じ内需型の「医薬品」、「電力・ガス」、「運輸・物流」と比較的高い相関を持っておる
景気敏感な「証券」や「不動産」、輸出型の「非鉄金属」、「電気機器」とはリターンの相関が低いので、組み合わせると良いかもしれんな 

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エネルギー・資源

「エネルギー・資源」には、以下のような業種が含まれるな
・石炭や卑金属、貴金属などの地下資源を鉱脈または鉱石から採掘し資源として生産する「鉱業」
・主に製油を行い、製品として販売する「石油業」
・石炭の輸入販売を行う「石炭業」

石油と石炭は燃料として需要が競合することもあるな

原油高は「石炭業」にとっては有利に働くことを覚えておくとよいぞ

この業種の株価は、他の業種とは異なる独特の値動きをするようじゃな
円安や株高といった好材料にもあまり反応しないようじゃ  

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建設

「建設業」は、主に建築物、建設物の工事完成までを請け負い、生産する業種じゃ

総じて内需型企業の多い業種だから、円高による業績のブレは少ないほうじゃ

公共事業を主に扱う企業は市況の悪化や経済ショックにも強いな

「金属」とは建設資材の関係からか、リターンの相関が高いようじゃ
市況の悪化に弱い「証券」とは相関が低いな  

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素材

「素材」に含まれるのは以下の業種じゃ
・主に繊維製品や紡績製品を生産する「繊維製品」
・製紙の材料となるパルプを生産する業種
・そこから製紙を行う製紙業

生活に欠かせない必需品を多く作っておる「必需型」の業種の一つで、市況の悪化には強そうじゃ

市況の悪化に弱い「証券」とは相関が低いな

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化学

「化学」は、原料に化学反応を起こし加工することで製品を生産する業種じゃ

原材料の多くを輸入に頼る企業も多いぞ

事業の範囲が広いので、全体としては株価変動の癖が少ない中立的な業種となっておるな
業種全体の性格よりも、個別の企業の事業に視点を当てて選ぶ必要がありそうじゃ   

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医薬品

「医薬品」は、人などの病気疾患に対して治療、診断、予防などを行う薬品を生産する業種じゃ

生活に欠かせない物を生産するので、景気にはあまり左右されない典型的な「必需型」の産業じゃな

そのため円高や株安といった局面に底堅い値動きをするな

同じ必需型の「食品」や「電力・ガス」と相関が高いぞ
逆に、景気敏感な「不動産」や「証券」、市況産業の「鉄鋼」、「非鉄金属」、「ガラス・土石」などとは相関が低いようじゃ 

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ガラス・土石製品

「ガラス・土石製品」は、ガラス製品の加工・生産、衛生陶器・洗面台・コンクリート製品の生産を行う業種じゃ

原油高には強いほうじゃな

市況産業の「鉄鋼」や「非鉄金属」と相関が高いようじゃ
逆に、内需型の「小売」とは相関が低いぞ

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鉄鋼

「鉄鋼」 は、鉱石などから建築・電気機械・乗り物などに用いる鉄や鋼材を生産する業種じゃ

典型的な「市況産業」じゃな

景気に敏感な産業に材料を提供しているので、「鉄鋼」も景気敏感な業種になっておる

市況産業の「ガラス・土石」、景気敏感な「不動産」などと相関が高いな
必需品を扱う「医薬品」や「小売」とはリターンの相関が低いようじゃ  

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非鉄金属

「非鉄金属」 は、鉄と鋼以外のすべての金属を生産・加工する業種じゃ

石油に依存する度合いが低いのか、原油高には強い業種のようじゃの

景気敏感な業種で、「不動産」、「機械」、「ガラス・土石」などと相関が高いな

リターンは「機械」や「ガラス・土石製品」とプラスの相関が強いな
逆に必需型や内需型の「食品」、「医薬品」、「小売」、「電力・ガス」、「運輸・物流」とは相関が低いぞ

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金属製品

「金属製品」 は、他に分類されない金属製品を生産する業種じゃ

鉄骨などの建築用製品や金属線といったものが主な製品じゃ

「建設」とは相関が高いが、他の業種との相関はあまり高くないな
業種の分散には適した業種と言えそうじゃ  

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機械

「機械」 には、建設機械、工作機械、重機など物の生産のための機械を製造する業種と測量機器や光学機器などの業務用機器を製造する業種が含まれるな

輸出型の企業が多く、円安に強いが円高には弱い業種じゃな

景気敏感で、原油高にも強い業種のようじゃ

相関が高い業種は「非鉄金属」、「鉄鋼」、「卸売」などじゃな

逆に必需型や内需型の「医薬品」、「食品」、「電力・ガス」、「運輸・物流」、「情報通信・サービス」とは相関が低いぞ 

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電気機器

「電気機器 」は、電気を利用する機械器具、電気エネルギーを生産する機器、送電や変電を行う機器などを製造する業種じゃ

輸出型の企業が多く、円安には強いが円高には弱い業種じゃ

「精密機器」や「情報通信・サービス」とは相関が高いな
「エネルギー・資源」や「運輸・物流」とは相関が低いようじゃ 

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自動車・輸送関連機器

「自動車・輸送関連機器」に含まれるのは、
・自動車、船舶、航空機など、人や貨物を運ぶための乗り物を製造する「輸送用機器」
・工業向けや生活向けに天然ゴムの輸入または合成ゴムの生産を行い、それを加工して販売する「ゴム製品」じゃ

自動車産業の比重が大きく、ゴム製品ではタイヤの輸出の比重も高いので、輸出型の業種の代表と位置づけられるな

自動車産業はわが国の経済をリードする業種で、景気敏感と言うよりも、景気と共に動く業種と言ったほうがふさわしいくらいじゃ

輸出型の業種なので円安に強いな

内需型の「建設」とは比較的相関が低いようじゃ  

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精密機器

「精密機器」 は医療用機器、時計、計測機器などを生産する業種じゃ

輸出が多い「精密機器」は円安には強いが、円高には弱い業種に位置づけられるな

リターンは、同じように輸出が多い「電気機器」と相関が高いな
何故かはよく分からんが、「銀行」や「その他金融」と相関が低いな 

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その他製品

「その他製品 」は、製造業の中で他のどの分類にも属さない業種をまとめたものじゃ

主な製品として貴金属製品、衣類の装飾品、文房具、おもちゃ、楽器や眼鏡などがあるな

内需型の企業の多い業種じゃな

「その他」というだけあって、他の製造業とのリターンの相関はそれほど高くないようじゃ
業種の分散に適した業種と言えるかもしれんな

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電力・ガス

「電力・ガス」 は、家庭や業者の需要に応じて電気やガスを供給する業種じゃ

典型的な必需型・内需型の業種で、円高には強いぞ

燃料に石油を使っている企業が多いので、原油安にも強いな

成熟した産業であまり高い成長率は望めんが、配当利回りは高いぞ

同じ内需型の「運輸・物流」や「食品」とリターンの相関が高く、輸出型の「機械」や景気敏感な「不動産」などとは相関が低いな 

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運輸・物流

「運輸・物流」には、
・「陸海空」運のそれぞれの交通手段で旅客または貨物を輸送する業種 
・顧客に商品や物品を運送する前に倉庫で保管する倉庫業や、そのまま運輸を担う企業も含まれるな
・また、航空測量や地理情報システムを取り扱っている会社なども含まれておるぞ

内需型で円高には強いが、輸送に燃料に石油を使っている企業が多いので原油高には弱いな

同じ内需型の「電力・ガス」や「食品」とリターンの相関が高いようじゃ
一方で輸出型の「電気機器」や「機械」とは相関が低いぞ 

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情報通信・サービス

「情報通信・サービス」は、主に、情報の発信・処理・提供に携わる通信業務、システム、ソフトウェア開発業務、インターネットサービス業務、放送業務などじゃ
その他にも、基本的にお金の対価として「物」ではなく「サービス」を生産し提供する多彩な業種も含まれるな

「情報通信・サービス」には内需型の企業が多いので、円高時には強いようじゃ

利用する機器に関連する「電気機器」と相関が高いほか、何故か「医薬品」とも相関が高いな
「鉄鋼」、「エネルギー・資源」とは相関が低いようじゃ 

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卸売

「卸売」は、製造業者が製造した商品を小売業者に販売するための仲介をする業種じゃ

生産と小売を結びつける「卸売」は、関係する業種が多岐にわたり、それぞれ異なるな影響を受けるようじゃな

全体としては「機械」と相関があるようじゃな
必需型の「医薬品」や「電力・ガス」、内需型の「運輸・物流」とは相関が低いな   

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小売

「小売」は、主にメーカーから直接または卸売業から商品を買い取り、それを消費者に販売する業種で、レストランや居酒屋といった飲食店も含むな

消費者の動向に影響を受ける業種で、製造業の業種とは異なる株価形成をするようじゃ

内需型・必需型の企業が多いので、円高時や株安時には株価が底堅い動きをするようじゃの

景気敏感な市況産業の「鉄鋼」、「非鉄金属」、「ガラス・土石」とは相関が低いぞ 

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銀行

「銀行」は、主に預金者からの預金を使い、民間企業や家計に貸付を行う業種じゃ

融資が景気に左右され、また保有する有価証券も多いので、「銀行」は景気には敏感な業種じゃな

低金利が続くような経済環境は「銀行」にとっては辛い状況じゃ

同じ金融の「証券」や「その他金融」、景気敏感な「不動産」と相関が高いな
何故かはよく分からんが「精密機器」、「化学」と相関が低くなっておる  

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証券

「証券」には、有価証券の売買、売買の代理、売り出し、募集などを行う証券業と、先物取引における取引の受託、注文の発注を行う商品先物取引業が含まれるな

「証券」業は典型的な景気敏感業種じゃな
市場感応度が高いので、株高に強いぞ

株式の値動き幅が大きく、リスクが高い業種でもあるな

同じく景気敏感業種としての「不動産」、同じく金融としての「銀行」と相関が高いようじゃ
一方で必需型の「食品」、「医薬品」、「素材」や市況悪化に強い公共事業中心の「建設」とは相関が低いぞ

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保険・その他金融

「保険・その他金融」には、
・加入者から事故などに備えた保険料を受け取り、事故などの際に保険金を支払う「保険」業、
・消費者金融、クレジットカード事業、不動産リース事業などが含まれるな

「保険・その他金融」業は、「証券」や「銀行」ほどではないがベータ(市場感応度)が高いので、株式の値動き幅がやや大きい業種じゃな

「精密機器」、「化学」、「ガラス・土石」とは相関が低いようじゃ  

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不動産

「不動産」は、不動産の売買、交換、賃貸、管理またはその代理を請け負う業種じゃ

内需型、景気敏感型の代表的な業種じゃな

ベータ(市場感応度)が高く、株式の値動き幅が大きい業種じゃ

同じく景気敏感な「証券」、「銀行」、「その他金融」、「鉄鋼」、「非鉄金属」と相関が高いぞ 一方で、内需型の「医薬品」、「食品」、「電力・ガス」とは相関が低いようじゃ   

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