株式の保有は子育てのようなものである。世話ができる以上に持ってはいけない。(ピーター・リンチ)

「株式投資の神様」とも「伝説のファンドマネージャー」とも言われる「ピーター・リンチ」は、米国フィデリティ社で1977年から当時総資産1800万ドルであったマゼランファンドの運用を担当し、1990年に46歳で引退するまでの13年間で100億ドル超えの世界最大のファンドにまで成長させました。
引退後に執筆した著書に彼は20の教訓を記しましたが、その内容の意外さに多くの投資家が驚かされました。
このコラムのタイトルも、そのうちの一つです。

「株式を保有するのは子どもを持つようなもの」云々の言葉は、1000銘柄以上を組み入れた超巨大ファンドの運用者のセリフとは思えませんね。
しかし、「仮想通貨(今は「暗合資産」と云います)への投資はエキサイティング」、「AI(人工知能)に運用を任せよう」などという時代だからこそ、思い起こす意味がある言葉なのではないでしょうか?

株式は単なる投資の道具ではありません。
株式を発行している会社は、実在し、その顧客にサービスを提供して対価を得、従業員に給料を払い、利益から税金を収め、また株主としての投資家に配当金をもたらすという営みを日々続けています。
そうした活動から生み出される付加価値が会社の価値を高め、株価を上げて行くのです。
株式に投資をするということは、本来は、その会社の未来に投資をし、応援するということなのです。
株式は、暗号資産のような実態のない資産でもなく、コンピューターに任せて儲けるために存在する資産でもありません。

「株式投資を職業としない者には、継続的に観察し、適切な時期に売り買いできるのは8~12銘柄程度だろう。
ポートフォリオに含む銘柄は5銘柄を超えてはならない」。
ピーター・リンチは、前言をこのように続けています。

実は、「賢者のポートフォリオ」で1回のプレイで画面に現われる銘柄が12銘柄なのも、そこから5銘柄を選ぶのも、彼の言葉がヒントになっているのです。

ちなみにピーター・リンチは次のようなことも言っています。

あなたの投資家としての強みは、ウォールストリートの専門家から得るものではなく、あなたが既に持っているものだ。その強みを生かしてあなたが既に理解している会社や業種に投資すれば、投資の専門家に勝る成績を挙げることができる。
人気のある株式は避けることだ。冷えきって成長性のない業種の中で成長を続ける会社の中にこそ、大勝ちする銘柄が潜んでいる。
どの業種、どの地域においても、観察力の鋭いアマチュアなら、専門家よりもずっと早く大きく成長する銘柄を見つけることができる。

世界最大のファンドを運用していた人の言葉とは思えませんね。

「賢者のポートフォリオ」がゲームの中で提供できる情報には制約があり、それぞれの会社の投資時点での事業計画や経営方針などは、残念ながらお伝えすることはできません。
しかし、初心者にはそれでも多過ぎると思われるであろう情報が詰まっています。
このゲームで、是非、株式を選ぶことの面白さを体験してください。

そしてもしあなたが株式投資を実践されるなら、その会社の未来の姿を想像し、自分が株主として応援したいかどうかを考えてみてください。
株主になった後には、株主総会に顔を出し、経営者の言葉を生で聞くのもいいですね。
長い目で銘柄を選び、見守り続けることが大切です。

もちろん、株式に投資をする場合には、他の投資家がその価値に気付いていない、正しく評価していないなどで、その銘柄が割安に買える状況にあることが肝心ですよ。

(2019年11月4日 才出やすか)